令和6年度 with Dam ★ Night in Kyushu 開催報告
活性化推進小委員会 九州地区幹事 岩井 慎治※
活性化推進小委員会 九州地区幹事 神田 貴行※
活性化推進小委員会 九州地区幹事 三浦 勇輝※
※八千代エンジニヤリング株式会社
九州支店 ダム・砂防部
1.はじめに
ダム工学会九州地区連絡会では、今回で9 回目となる「with Dam ★ Night in Kyushu」を、令和6 年11 月16 日(土)に福岡市中央区のTKP ガーデンシティPREMIUM 天神スカイホール・メインホールA にて開催し、滞りなく終了しましたのでご報告いたます。
2.with Dam★Night in kyushu
「with Dam ★ Night(以降、wDN と称す)」は、一般の方々とダム技術者・研究者やダムファンとの交流の場を提供することで、ダムに関する基礎知識や情報を社会に広く適切に伝え、ダムに親しんでもらえるように、平成22 年(2010 年)より始まりました。
その後、wDN は大きなムーブメントに伴う反響をいただき、現在は日本全国で活動するまでになっています。
九州地区では、平成26 年度より開始し、「一般の方々にダムの魅力をより分かりやすく・親しみやすく」をキーワードに、福岡市の中心地である天神地区でwDN を開催しております。
盛況のうちに無事終えることができましたので、以下に実施した概要をご報告いたします。
●wDNプログラム
15:00 |
【開会挨拶】 |
ダム工学会会長 |
角 哲也 |
15:10~ |
【講演①】 |
ダムを「賢く」「増やして」「永く」使うために
~ 揚水発電利用の新しい展開~ |
京都大学特定教授 |
角 哲也 |
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【講演②】 |
土木イノベーターズ with ダム |
前田建設工業 |
川西 敦士 |
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【講演③】 |
最高水位の盛り上がり!
阿蘇立野 ダムSWL イベント |
みなみあそ観光局 |
小笹 和幸 |
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【講演④】 |
松原ダム・下筌ダム建設と管理50年 |
前 筑後川ダム統合管理事務所長 |
甲斐 浩幸 |
16:55~ |
【イベント(1)】 |
2024 九州ダムフォトコンテスト審査発表 |
ダム工学会九州地区連絡会
wDN実行委員会 委員長 |
泉 倫光 |
17:15~ |
【イベント(2)】 |
2024 wDN in Kyushu 「ダムjackpot」 |
FM福岡DJ & パーソナリティー
ダム工学会九州地区連絡会
wDN実行委員会 |
Kaede
岩井、神田 |
17:45~ |
【閉会挨拶】 |
ダム工学会九州地区連絡会
会長 |
矢野 真一郎 |
18:00~ |
【懇親会】 |
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【開会前の会場状況】
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【司会:kaede氏】
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【ダムjackpot 開催状況】
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【懇親会の様子】
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2.1講演内容
今回のwDNでは、4講演を行いました。
講演の題目および御講演者は、以下のとおりです。
題 目 |
講 演 者 |
ダムを「賢く」「増やして」「永く」
使うために
~揚水発電利用の新しい展開~ |
京都大学 特定教授
角 哲也 |
土木イノベーターズ with ダム |
前田建設工業
川西 敦士 |
最高水位の盛り上がり!
阿蘇立野ダムSWL イベント |
みなみあそ観光局
小笹 和幸 |
松原ダム・下筌ダム建設と管理50年 |
前 筑後川ダム統合管理事務所長
甲斐 浩幸 |
(1) ダムを「賢く」「増やして」「永く」使うために
~揚水発電利用の新しい展開~
最初の講演は、ダムを「賢く」「増やして」「永く」使うために~揚水発電利用の新しい展開~と題して、京都大学特定教授の角哲也さまから、揚水発電利用についてご講演いただきました。
世界の揚水発電の動向やHatta 揚水発電プロジェクト、ダム再生・流砂環境再生研究領域についてご説明いただきました。
気象予測を活用した揚水発電の高度運用検討では、揚水発電の可能性や課題等、大変興味深いものであったと思います。
また、世界の大規模な揚水発電のプロジェクトについて説明していただき、大変貴重なお時間になりました。
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角さまによる講演状況 |
(2) 土木イノベーターズ with ダム
次の講演は、「土木イノベーターズ with ダム」と題して、前田建設工業株式会社の川西敦士さまより、土木業界とマインクラフトを題材にご講演いただきました。
マインクラフトを活用した土木業界の新しい可能性や建設業を取り巻く変化、マインクラフトの活用事例の紹介などについてご講演いただきました。
マインクラフトを活用して立野ダムを作成することや、ボクセルモデルによる新しい建設プロジェクトの提案など土木業界に新たな可能性を感じることができる内容だったと思います。
また、未来の建設者を育むため「~遊びをもっとまじめに〜」をモットーに、マインクラフトを活用して建設を体験する企画をするなど土木業界に興味を持ってもらえるきっかけを作っていただけたのではないかと感じました。
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川西さまによる講演状況 |
(3) 最高水位の盛り上がり! 阿蘇立野ダムSWLイベント
続いての講演は、「最高水位の盛り上がり!阿蘇立野ダムSWL イベント」と題して、一般社団法人みなみあそ観光局事務局長の小笹和幸さまから、立野ダム試験湛水イベントを題材にご講演いただきました。
立野ダムと観光との繋がりや試験湛水ウェルカムWEEK、ダムの魅力をより伝えるためについてご紹介いただきました。
立野ダム試験湛水ウェルカムWEEK へ向けたメディア・SNS の活用や、たてのダムガチャなどの取り組みについてご説明していただきました。
また、ダムの魅力をより広く伝えるためにファン層と潜在層を行き来する「伝道師」が必要であると発表いただきました。
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小笹さまによる講演状況 |
(4) 松原ダム・下筌ダム建設と管理50年
最後の講演は、「松原ダム・下筌ダム建設と管理50年」と題して、前筑後川ダム統合管理事務所長の甲斐浩幸さまからご講演いただきました。
松原ダム・下筌ダムの建設に対する13年もおよぶダム建設反対運動や大きな影響を与えた蜂の巣城の闘争についてご講演いただきました。
松原ダム・下筌ダムの建設反対運動を主導した室原和幸氏の訴えには、公共事業のあり方に大きな影響を与えるものだと感じました。
松原ダム・下筌ダム管理50 周年記念式典では、ステージイベントやダム見学、バルーン体験など大盛況になったとご紹介いただきました。
今後への思いとしては、苦渋の決断でダム建設賛成に動いた住民達を知ることも大事であり、伝えることも大切だとご説明いただきました。
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甲斐さまによる講演状況 |
2.2イベント
(1)ダムフォトコンテスト審査発表
wDN の開催に合わせて「2024 九州ダムフォトコンテスト」と題して、九州地区のダム写真の募集を行いました。
九州ダムフォトコンテストは、より多くの方にダムに親しんでいただくことを目的として実施しており、本年は、10作品の応募をいただきました。
また、募集写真の中から、当日参加者の投票により入賞写真を選出し、wDN 実行委員会の泉倫光委員長より、審査発表を行いました。
今回の最優秀賞は、「歓喜の水のカーテン」のタイトルで、試験湛水中(越流時)の立野ダムと半年前に熊本地震から復興した南阿蘇鉄道のMT-2003A 車両とのツーショットを撮影されたU さまが選ばれました。
優秀賞は「彼岸花と稲穂と寺内ダム」のタイトルで、彼岸花と稲穂の奥にひっそりと佇む寺内ダムを撮影されたM さま、「立ちはだかる壁(大山ダム)」のタイトルで、大山ダムの壮大さと神々しさを収めましたO さまが選ばれました。
受賞者には、会場にて受賞コメントをいただき、賞品であるオリジナルダムカードは後日お渡しいたしました。
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フォトコンテスト発表状況
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審査発表状況(泉委員)
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最優秀賞(U さま:当日欠席)
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優秀賞(M さま)
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優秀賞表彰状況(O さま)
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賞品 オリジナルダムカード
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(2)2024wDNinKyushu[ダムjackpot]
ダム工学会九州地区連絡会wDN実行委員会の岩井委員と神田委員、FM福岡パーソナリティーのkaedeさまの司会で、九州のダムを紹介しながらのビンゴゲーム「ダムjackpot」を行いました。
ビンゴゲームの賞品は、ダム工学会九州地区連絡会の有志から、ダムにゆかりのある品々をご提供いただきました。
今回も、「重機ダイキャストモデル」に始まり、ダムカード、ダム竣工記念枡、ペーパークラフトや重機がデザインされた文房具など、様々な賞品を取り揃えることができました。
ビンゴゲームの賞品は、ダム工学会九州地区連絡会の有志から、ダムにゆかりのある品々をご提供いただきました。
会場にいる全員が参加してのビンゴゲームとなり、ダムとそれに合わせた数字が発表されるたびに歓声が上がって、大盛況のゲーム大会となりました。
2.3 閉会
ダム工学会 九州地区連絡会会長の矢野真一郎による閉会挨拶を行いました。
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閉会挨拶の状況 |
2.4 懇親会
懇親会では、一般の方をはじめ、ダム事業の関係者、ダム愛好家など多くの方々に参加いただき、語らい・交流の場を提供することができました。
また、今年は九州地方外から「wDN in Kyushu」参加のために福岡に来られた方もいて、とても嬉しく思いました。
会場では、たくさんの方に登壇していただきダムへの熱い思いを語っていただきました。
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閉会(ダム式万歳)の状況 |
3.さいごに
今年度に開催したwDN in Kyushuは、一般の方々を招いて、ダムについてより分かりやすく、親しみやすく知っていただきたいという趣旨のもとで実施いたしました。
そのため、多くの方々がお越しになれるよう、プログラム内容の工夫はもとより、開催日時を昨年同様土曜日の午後に設定するとともに、開催会場も交通の便が良い福岡市内の中心(天神)としています。
これらの工夫もあって、参加者には一般女性の方や家族連れの方も多く見受けられ、大変嬉しく思っています。
広報面では、昨年と同様に広報誌への案内掲載や、後援いただいている各機関へのHP掲載を依頼しました。
その甲斐あって参加者は少しずつ増加しており、地道に改善を図りながら、広報してきた努力が実を結び始めてきたと実感することができました。
なお、wDN当日に実施したアンケートでは、「硬い講演会が多い中、このようなイベントは続けて欲しいです」、「ダム好きな普通の人が、このダムのここがかっこいい、みたいな話が聞きたいです。今日はありがとうございました。」、「興味を持っている人が多くいること、様々な活動を知るいい機会になりました。ありがとうございました。」といった嬉しい意見もいただいております。
九州地区でのwDNの開催は、まだまだ試行錯誤の段階ではありますが、このようなイベントを通して、ダムへの関心の高まりや広がりは加速度的に大きくなると感じています。
これまでの経験を活かし、ダム工学会九州地区連絡会では、今後もwDN開催を始め、ダム分野の発展に繋がるイベントを積極的に企画・実施していきたいと考えています。
最後になりましたが、wDN in Kyushuを開催するにあたり、(一社)ダム工学会、(一社)九州地方計画協会、国土交通省九州地方整備局、福岡市、 (公社)土木学会西部支部、(一社)建設コンサルタンツ協会九州支部、(一財)日本ダム協会/ダム工事総括管理技術者協会、九州大学、ご講演者の皆様など、関係各位に多大なご協力をいただきましたこと、厚くお礼申し上げる次第です。
令和6年度 with Dam ★ Night in Kyushu 開催報告 |
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